株式会社日本文書は、創業者丸田宏により1965年に設立されました。
当時文書の保存は紙とマイクロフィルムが主流でした。保存用の重要文書をきちんと整理し、長期保存に耐え得る形に製本する仕事、ということを原点に、日本文書はスタートしました。
当時は文書のほとんどが手書きであり、紙のサイズも様々でした。また、写真などもデータではなく、現物をそのまま保存する必要がありました。大きさのバラバラな伝票や領収書、写真など紙以外のものをいかに見やすく、そして耐久性に優れ、美しく製本するか、という工夫や技術が求められました。様々なもの=諸々のものを製本する「諸(モロ)製本会社」として、技術を磨き、成長していきます。その技術、製品の品質、「できない」と言わず何とかお客様のお言葉にお応えしようと工夫をする姿勢が官公庁や企業の信頼につながり、ご注文数がどんどん増えていきました。日本の高度成長期と共に、日本文書も順調に発展していきます。取扱い製品は、長期保存用=ハードカバーやバインダーに特化していきました。
パーソナルコンピュータの普及により、情報の保存方法として新たに「データ」が加わり、
従来の紙だけにとどまらず、様々な媒体を保存する必要性が出てきました。
また同時期にバブルが崩壊し、右肩上がりだった日本経済にも暗雲がたちこめます。
日本文書も、受注数の減少、お客様の減少、等厳しい状況に直面します。
1996年、現代表取締役社長である丸田寛之が入社。現状脱却へ向けての改革とチャレンジが始まります。
当時日本文書は、エンドユーザーとの直接取引ではなく、ほとんどの仕事を企業の下請けとして担っていました。このままいわゆる不景気が続くと、受注数が減少し続けることは容易に想像できました。
同時に、「綴じ方」も「形」も「デザイン」も、提案要素がなく、言われたとおりの物を製造するだけ、という点にもジレンマを感じ始めていました。
実際に手に取り、使用するお客様は、本当はどんなものを希望されているのだろうか、どんなシチュエーションで、どんな風に使うのだろうか。専門的な知識をもった私たちが、もっと踏み込んだ提案をしたら、お客様により一層喜んでいただけるのではないか・・・
下請けとしてではなく、直接お客様とやり取りをしながら、本当にお客様にご満足いただけるものを作りたい、そんな気持ちが高まっていきました。
折しもインターネットの普及により、広告宣伝の方法が画期的に変化し、日本文書という会社を広く知っていただけるチャンスが訪れました。ホームページさえあれば、「本を作りたいな」「オリジナルのバインダーが欲しいな」と思っていた方が検索をして日本文書のページへ辿り着いてくれる。
全国各地の「こんなことしたいな」「できるかな」にお応えできるチャンスです。
日本文書という会社を知ってさえもらえれば、かならずお客様へ喜んでいただけるという自信がありました。
日本文書の強みは「製造業」である、というところ。
材料の特性、材料と加工の相性、加工技術について、専門的な知識に加え、技術と設備を兼ね備えていますので、デザイン、機能、コスト、スピード、品質管理に至るまで、あらゆる面でベストを尽くすことができます。
どんなシチュエーションで、どんな方が、どんな目的で使用するのか・・・様々な状況、ご希望を丁寧にヒアリングしながら形にし、使い方をもご提案することが可能です。
お客様が真に望むことは何なのか・・・ニーズがキャッチできれば製品の幅も広がります。
ニーズをキャッチし、プロとしてお客様の想像を超えた製品を提供し、真の満足をいただく。真摯に実直に仕事をさせていただくうちに、エンドユーザーとの直接取引が増加し、始めは工場の片隅に設置したお客様との打合せスペースを店舗開設へと発展させる必要が生じました。
またデザイン部門を設立し、作り手の視点からのデザイン、平面ではなく立体的なデザイン、製造業としての技術や知識を駆使したデザイン、という長年の夢を実現できるようになりました。
ルートセールスだけではなく、店頭で、またお客様先で、直接お客様とやりとりをしながら一緒に製品を作り上げていく営業を増員していき、よりお客様のご希望に丁寧にご対応できる体制を整えたいと願うようになりました。
日本文書の製品は、完成、納品がゴールではなく、手に取ったお客様にどう使っていただくか、どんな気持ちで使っていただくか、が大切。
いつもその気持ちを忘れずに、製品を作り出しています。日本文書は2011年、更なる品質、技術の向上の為、海外企業とOriginal Equipment Manufacturer(OEM)のパートナーシップを結びました。
協力関係を結ぶにあたって日本文書が大切にしたこと、それは、良いものを作りたい、という製品へのこだわり、お客様のニーズに精一杯応えようとする姿勢を共有できる会社であるということ。
オーダーメイドである日本文書の製品は、完全オートメーション化されたライン作業では製作することができません。高い技術と知識をもった作り手たちが、試行錯誤を重ね、妥協を許さず、製品と向き合っていく必要があります。更に、限られた時間と予算で、最善を尽くさなければなりません。
そういった細かく、かつ難しいオーダーに挑戦してくれる、信頼できるパートナーを探すため、何度も各国に足を運び、何社もの会社を訪問しました。
現在のパートナー企業はそんな私たちの熱い想いに全力で応えてくれる信頼できるパートナーです。
「未来はお客様が教えてくれるもの」・・・老舗であることの誇りを大切にしながらも、従来のやり方に固執せず、ニーズに柔軟に対応し、常に挑戦し続けてきました。
私たちの基盤は製造業、ものを作る会社であること。そこにプライドを持ち、営業、デザイン、製作が三位一体となり、他ではできないものを製作する。
「作るだけ」「売るだけ」「デザインをするだけ」「企画をするだけ」ではない。それぞれの部署がその道のプロとして、お客様をトータル的にコーディネイトし、サポートしていく、という最強のプロ集団を目指しています。